伽藍堂

 自分が夜更けに涙を流す理由は焦燥であり、恐怖であり、後悔であり、不満であり、無念であり、嫌悪であり、恥であり、嫉妬であり、罪悪感であり、殺意であり、劣等感であり、恨であり、怨みであり、苦しみであり、悲しみであり、切なさであり、怒りであり、絶望であり、憎悪であった。近頃、左目の瞼が頻りに痙攣を起こす。そしてとうとう、涙が勝手に溢れてしまうようになった。人間には表面上の感情があり、例え不快だとしても笑みを浮かべることなんて容易いものである。ここで述べる「感情」とはそういった紛い物ではなく、自分が他人に干渉されることなく勝手に巡らせるものだが、それなら、自分の感情はもはや空虚しか残されていない気がする。もし、本当に空虚以外の全てが、そして空虚さえも消え失せれば、自分は一体どうなってしまうのだろうか。それを知る由はない。

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